ABAPでOpenSQLを使用してDB検索
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このトピックでは、OpenSQLによりDBデータを検索する方法を取り上げて説明します。

DBデータを検索するには、SELECT命令を使用します。SELECT命令は以下のような分類があります。

  • 「SELECT SINGLE」命令: 一行読込
  • 「SELECT・・・ENDSELECT」命令:一件ずつ複数行読込
  • 「SELECT INTO TABLE」命令:内部テーブルによる複数行一括読込
  • 「SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE ・・・ENDSELECT」命令:内部テーブルによる複数行分割読込
  • 「OPEN CURSOR FOR SELECT」命令: カーソルによる読込

SELECT SINGLE

構文:

SELECT SINGLE 項目 INTO wa  FROM テーブル名  ~.

この命令は、指定したデータベーステーブルから、指定した条件と一致するデータを1件のみ取得します。。INTO句の後ろでは、構造(wa)を指定する必要があります。

取得する事ができれば、システム項目「SY-SUBRC」には0が入ります。取得できたデータの件数(取得できていれば1)は、システム項目「SY-DBCNT」に格納されます。

SELECT...ENDSELECT

構文:

SELECT 項目 INTO wa  FROM テーブル名 ~.
処理内容
ENDSELECT.

この命令は、指定したデータベーステーブルから、指定した条件と一致するデータを1件ずつ取得します。条件と一致するデータがなくなるまで、「ENDSELECT.」の間をループします。NTO句の後ろでは、構造(wa)を指定する必要があります。

1件でもデータを取得する事ができれば、システム項目「SY-SUBRC」には0が入ります。取得できたデータの件数は、システム項目「SY-DBCNT」に格納されます。

SELECT INTO TABLE

構文:

SELECT 項目 INTO TABLE it  FROM テーブル名 ~.

この命令は、指定したデータベーステーブルから、指定した条件と一致するデータを一括で取得します。データをプログラム内で溜めて利用する事ができるのが特徴です。INTO句の後ろでは、内部テーブル(it)を指定する必要があります。

1件でもデータを取得する事ができれば、システム項目「SY-SUBRC」には0が入ります。取得できたデータの件数は、システム項目「SY-DBCNT」に格納されます。

SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE...ENDSELECT

構文:

SELECT 項目 INTO TABLE it. FROM テーブル名 PACKAGE SIZE 行数 ~.
処理内容
LOOP  AT it into  wa.
処理内容
ENDLOOP.
処理内容
ENDSELECT.

この命令は、指定したデータベーステーブルから、指定した条件と一致するデータを、PACKAGE SIZEで指定された行数単位で、複数のパッケージに分けて内部テーブルに読み込みます。

読み込むパッケージがなくなるまで、SELECT~ENDSELECTの間をループします。なお、内部テーブルには常に、いま読み込まれたパッケージの行のみが格納されます。(INTOの代わりにAPPENDINGキーワードを使えば、内部テーブルには各パッケージの行がどんどん溜まっていくことになります)

OPEN CURSOR FOR SELECT

構文:

OPEN CURSOR c FOR  SELECT  項目 FROM テーブル名 ~.
DO.
FETCH NEXT CURSOR c INTO  wa.
処理内容
ENDDO.
CLOSE CURSOR  c

WHERE句

全ての命令のSQL文ではWHERE句を記述することが可能です。

「SELECT SINGLE」命令では、WHERE句でプライマリキーが特定できない場合に警告が出力されます。

ORDERBY句

下記のように「○」が付いている命令のSQL文では、ORDERBY句を記述することが可能です。

  • 「SELECT SINGLE」:×
  • 「SELECT・・・ENDSELECT」:○
  • 「SELECT INTO TABLE」:○
  • 「SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE ・・・ENDSELECT」:○
  • 「OPEN CURSOR FOR SELECT」:○

      

結合検索

全ての命令のSQL文では下記のような結合検索を記述することが可能です。

  • INNER 別テーブル名 ON 結合条件
  • LEFT OUTER JOIN 別テーブル名 ON 結合条件

集計問い合わせ

全ての命令では、下記の集計関数や句を含める集計問い合わせを記述することが可能です。

  • COUNT
  • SUM
  • AVG
  • MAX
  • MIN
  • GROUPBY句
  • HAVING句

DISTINCT

下記のように「○」が付いている命令のSQL文では、DISTINCTを記述することが可能です。

  • 「SELECT SINGLE」:×
  • 「SELECT・・・ENDSELECT」:○
  • 「SELECT INTO TABLE」:○
  • 「SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE ・・・ENDSELECT」:○
  • 「OPEN CURSOR FOR SELECT」:○

読み取る行数を制御

下記のように「○」が付いている命令のSQL文では、[UP TO <n> ROWS]オプションで読み込まれる行数を制限することが可能です。

  • 「SELECT SINGLE」:×
  • 「SELECT・・・ENDSELECT」:○
  • 「SELECT INTO TABLE」:○
  • 「SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE ・・・ENDSELECT」:○
  • 「OPEN CURSOR FOR SELECT」:○

テーブル条件

SELECT 命令の WHERE 句には特殊バリアントがあり、内部テーブルの行および列から条件を導くことができます。

SELECT ...FOR ALL ENTRIES IN <itab> WHERE <cond> ...

<cond> は前述の方法で指定します。内部テーブル <itab> の項目を、条件のオペランドとして指定する場合は、内部テーブルのすべての行をアドレス指定します。その後で、内部テーブルの各行に対して比較が実行されます。各行に対して、条件を満たすデータベーステーブルからの行を選択します。SELECT 命令の結果セットは、内部テーブルの各行に対する個々の選択を結合したものです。重複する行は自動的に結果セットから除外されます。<itab> が空白の場合、オプション FOR ALL ENTRIES が無視され、すべてのエントリが読み込まれます。

内部テーブル <itab> には構造化された行データ型が必要であり、条件 <cond> に登場する各項目は、比較対象のデータベースの列と互換性がなければなりません。内部テーブル項目を使用する比較では、演算子 LIKE 、BETWEEN 、IN を使用しないでください。同じ SELECT 命令では ORDER BY 句を使用しません。

オプション FOR ALL ENTRIES を使用して、ネストされた選択ループを内部テーブルでの操作で置き換えます。これにより、選択したデータの多数のセットに対するパフォーマンスが大幅に向上します。

WHERE句での選択テーブルの使用

WHERE 句で選択テーブルを使用するには、次のように記述します。

......... WHERE <f> IN <seltab>.

<f> はデータベース列の名前で、<seltab> はその項目に割り当てられた選択テーブルです。このように WHERE 句を指定した OPEN SQL 命令は、データベーステーブルの列のうち、項目<f> の内容が <seltab> に格納されている選択基準に合致しているものだけにアクセスします。

REPORT DEMO.
DATA WA_CARRID TYPE SPFLI-CARRID.
SELECT-OPTIONS AIRLINE FOR WA_CARRID.
SELECT CARRID FROM SPFLI INTO WA_CARRID WHERE CARRID IN AIRLINE.
   WRITE WA_CARRID.
ENDSELECT.

選択テーブル AIRLINE はデータベーステーブル SPFLI の CARRID 列にリンクされています。SELECT 命令の WHERE 句により、CARRID 列の内容が AIRLINE に格納された選択基準を満たしているかどうかがチェックされます。

選択テーブルが次のように入力されているとします

SIGNOPTIONLOWHIGH
IBTDLUA
EEQLH-

WHERE句でのRANGES テーブルの使用

RANGES テーブルは選択テーブルと同じデータ型を持ちますが、選択画面の入力項目にリンクされていません。

   下記のように目的に応じて各命令を使い分けることができます。

  • 最大1件のみを取得する場合は「SELECT SINGLE」命令を使います。
  • 複数件を取得し、且つ取得可能な件数が必ず一定の範囲に収まる場合は「SELECT INTO TABLE」命令を使います。
  • 複数件を取得し、取得可能な件数は一定ではない場合は、基本的に「SELECT INTO TABLE PACKAGE SIZE ・・・ENDSELECT」命令を使います。
  • 複数件を取得し、前の行の値によって次の行を取得するかどうかを判断する必要な場合は、「OPEN CURSOR FOR SELECT」命令を使います。
  • 「SELECT・・・ENDSELECT」命令は、基本的に使いません。

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    概要

    採番処理のために共通的な仕組みを提供します。 

    格納テーブルNRIV
    番号範囲間隔
    メンテナンスSNRO
    番号範囲オブジェクト


    SM56
    番号範囲バッファの管理汎用モジュール

    下記の汎用モジュールを使用できます。

    NUMBER_GET_NEXT 採番NUMBER_GET_INFO 情報取得NUMBER_CHECK チェック


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    編集中

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    編集中

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    STRING(文字順序)、XSTRING(バイト順序)、I(整数)、F(浮動小数点数)、D(日付)、T(時間)などの型もメソッドが用意されておりますが、こちらの型は長さの指定がないので、型名を静的に指定すればよく、あえてメソッドを利用する必要がありません。

    下記のサンプルソースでは、長さ10の固定長テキスト項目型を動的生成する方法を示しています。

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    c10 = cl_abap_elemdescr=>get_c( 10 )."動的な型を取得


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    構成

    テーブルデータ型は、行データ型、キー、およびアクセス方法によって完全指定されます。

    (source:SAP Help Portal)

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    キー

    テーブル行データはキーによって識別されます。キーは、システムからデフォルトで生成されるは標準キーのほかに、ユーザから定義することもできます。ユーザ定義キーはUNIQUE または NON-UNIQUE として指定することができます。

    アクセス方法

    内部テーブルのアクセス方法は以下三つの種類から指定できます。

    標準テーブル
    標準テーブルは内部的な線型索引を持ちます。
    索引を使用して個別のテーブルエントリをアドレス指定する予定がある場合には、これが最適なデータ型です。ソートテーブル
    ソートテーブルは常にキー別にソートされ、保存されます。ソートテーブルも内部索引を持ちます。
    バイナリ検索が求められる場合には、これが最適なデータ型です。ハッシュテーブル
    ハッシュテーブルは線型索引を持ちません。キーを使用した場合にのみハッシュテーブルにアクセスすることができます。
    ハッシュ検索が求められる場合には、これが最適なデータ型です。分類

    テーブルデータ型は以下の階層図で示されたように、内部テーブルのアクセス方法により分類することができます。

    (source:SAP Help Portal)

    完全指定のテーブルデータ型

    内部テーブルのアクセス方法が明示されたテーブルデータ型です。

    STANDARD TABLE または TABLE
    標準テーブルを登録します。SORTED TABLE
    ソートテーブルを登録します。HASHED TABLE
    ハッシュテーブルを登録します。ジェネリックテーブルデータ型

    内部テーブルのアクセス方法が明示されたテーブルデータ型です。

    INDEX TABLE
    索引アクセスを使用するジェネリックテーブルデータ型を登録します。ANY TABLE
    完全なジェネリックテーブルデータ型を登録します。

    ジェネリックテーブルデータ型は動的なプログラミングでよく使用されます。

    定義

    テーブルデータ型は、ローカルまたはグローバルに定義することができます。

    ローカル定義

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    宣言

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    FIELD-SYMBOLS <FS1> TYPE ANY. FIELD-SYMBOLS <FS2> TYPE ANY TABLE.

    割り当て

    Assign命令を使います。

    参照と書き込み

    フィールドシンボルにやまかっこをつけて、フィールドシンボルがアドレスするデータを参照または書き込みすることができます。

    FORM f_get_range_table USING u_setclass u_subclass u_setname CHANGING r_range TYPE TABLE. DATA: lt_set LIKE setleaf OCCURS 0 WITH HEADER LINE, wl_range TYPE REF TO DATA . FIELD-SYMBOLS : <fs_rec>,<fs_itm> .

    SELECT * FROM setleaf
      INTO TABLE lt_set
      WHERE setclass = u_setclass
      AND subclass = u_subclass
      AND setname = u_setname.

    LOOP AT lt_set.
    CREATE DATA wl_range LIKE LINE OF r_range.
    ASSIGN wl_range->* TO <fs_rec>.
    ASSIGN COMPONENT 'SIGN' OF STRUCTURE <fs_rec> TO <fs_itm>.
    <fs_itm> = lt_set-valsign.
    ASSIGN COMPONENT 'OPTION' OF STRUCTURE <fs_rec> TO <fs_itm>.
    <fs_itm> = lt_set-valoption.
    ASSIGN COMPONENT 'LOW' OF STRUCTURE <fs_rec> TO <fs_itm>.
    <fs_itm> = lt_set-valfrom.
    ASSIGN COMPONENT 'HIGH' OF STRUCTURE <fs_rec> TO <fs_itm>.
    <fs_itm> = lt_set-valto.
    APPEND wl_range to r_range.
      ENDLOOP.
    ENDFORM.


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    このトピックは動的なデータオブジェクトを取り上げて、その特徴と使用方法を説明します。

    動的なデータオブジェクトとは

    動的なデータオブジェクトを説明する前にまず静的なデータオブジェクトを説明しておきます。

    プログラムの宣言部分において DATAなどの命令を使用して定義するデータオブジェクトはすべて静的に登録され、プログラムの起動時にはすでに存在する「静的なデータオブジェクト」となります。

    一方、動的なデータオブジェクトとは、プログラム実行時に、CREATE DATA命令を使用して作成されるデータオブジェクトです。

    動的なデータオブジェクトは以下の特徴があります。

    現在の ABAPプログラムの内部セッションの中にデータオブジェクトが登録されます。動的なデータ型を利用することができます。登録されるデータオブジェクトは独自の名称を持ちません。データ参照変数を使用した場合にのみアドレス指定することができます。内容をアクセスするにはフィールドシンボルを利用しなければなりません。動的なデータオブジェクト作成静的なデータ型使用の場合

    静的なデータ型を利用して動的なデータオブジェクトを作成するには、TYPEオプションを使用します。 TYPEオプションの使い方は基本DATA命令と同じですが、タイプ名を指定する際に動的な名称も使用可能です。 以下のような型を使用することができます。

    ABAP基本タイプ
    CREATE DATA dref TYPE c LENGTH 3.TYPESによって定義された任意のデータ型
    TYPES TYP_BKPF TYPE STANDARD TABLE OF BKDF
    CREATE DATA dref TYPE TYP_BKPF.ABAP ディクショナリによる任意のデータ型
    CREATE DATA dref TYPE BKDF.
    CREATE DATA dref TYPE STANDARD TABLE OF BKDF

    サンプルソース:

    DATA typ TYPE c. DATA len TYPE i. DATA dref TYPE REF TO data. FIELD-SYMBOLS <fs> TYPE ANY. typ = 'c'. len = 30. CREATE DATA dref TYPE (typ) LENGTH len. ASSIGN dref->* TO <fs>. <fs> = 'ABCDEF'. write <fs>.動的なデータ型使用の場合

    実行時データ型サービス (RTTS) データ型オブジェクトによって記述される動的なデータ型のデータオ ブジェクトを生成するには、TYPE HANDLEオプションを使います。

    サンプルソース:

    DATA: r_stru TYPE REF TO cl_abap_structdescr, it_comp TYPE cl_abap_structdescr=>component_table, r_comp TYPE abap_componentdescr, r_elem TYPE REF TO cl_abap_elemdescr, r_data TYPE REF TO DATA. DATA: length_of_field TYPE I VALUE 10. FIELD-SYMBOLS: <fs> TYPE ANY. START-OF-SELECTION. r_elem = cl_abap_elemdescr=>get_c( length_of_field ). r_comp-name = 'FIELD1'. r_comp-type = r_elem. APPEND r_comp TO it_comp. r_stru = cl_abap_structdescr=>create( it_comp ). CREATE DATA r_data TYPE HANDLE r_stru. ASSIGN r_data->('FIELD1') TO <fs>. <fs> = 'ABC'. WRITE: / <fs>.


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    このトピックはテーブルのデータ行に対して、読み込みや変更などの操作方法を取り上げて説明します。

    読み込み

    内部テーブルから単一行を読み込みするには、以下の命令を使用します。

    READ TABLE itab search-key search-result.検索キーを指定

    読み込む対象となるデータ行の検索キーを指定する方法を説明します。

    (1)テーブルキー指定

    検索キーとして itab のテーブルキーを使用するには、以下のように key を入力します。

    READ TABLE itab FROM wa result.

    または

    READ TABLE itab WITH TABLE KEY k1 = f1 … kn = fn result.

    全タイプの内部テーブルに対して、この方法を利用することができます。

    (2)任意キー指定

    テーブルキー以外の項目も検索キーとして指定することができます。

    READ TABLE itab WITH KEY k1 = f1 … kn = fn result.

    標準テーブルの場合、「BINARY SEARCH」をつけて検索の高速化を図ることができます。これは、標準テーブルが検索キー項目によってソートされていることを前提にしています、そうではない場合、エラーにならないが、意図しないデータ行が読み出されることになってしまいます。

    (3)index指定

    標準テーブルおよびソートテーブルに限りますが、読み込む行のテーブル索引を明示的にidxによって指定することができます。

    READ TABLE 読出元の内部テーブル INTO 読み出し先構造 INDEX idx

    idx は、i 型のデータオブジェクトである必要があります。

    取得できたかをチェック

    対象データが取得できた場合と取得できなかった場合、それぞれ以下のようにシステム項目に値が設定されます。

    取得できた場合sy-subrc: 0sy-tabix: 取得された行のインデックス取得できなかった場合sy-subrc: エラーコード(0でない数字)対象行のデータを照会

    検索対象行のデータを照会するには、作業領域かフィールドシンボルかを使用することができます。

    作業領域を使用
    READ TABLE itab key INTO waフィールドシンボルを使用
    READ TABLE itab key ASSIGNING <fs>.存在チェック

    対象データ行の内容を関心せず、対象データが存在しているかどうかのみをチェックする場合があります。その際、「READ TABLE」命令に「NO FIELDS」オプションをつけることができます。

    挿入単一行挿入

    単一行を内部テーブルの特定の箇所に挿入する場合は、「INSERT」を使用します。

    INSERT wa INTO TABLE itab INDEX idx.複数行挿入

    複数行を内部テーブルの特定の箇所に挿入する場合は「INSERT LINES OF」を使用します。

    INSERT LINES OF itab1 FROM idx1_1 TO idx1_2 INTO TABLE itab2 INDEX idx2.変更単一行変更

    単一行を変更するには、以下の命令を使用します。

    MODIFY TABLE itab FROM wa [TRANSPORTING f1 f2 …].複数行変更

    条件を使用して 1 行または複数行を変更するには、以下の命令を使用します。 MODIFY itab FROM wa TRANSPORTING f1 f2 …WHERE cond.

    削除単一行削除

    内部テーブルの単一行を削除する場合は、DELETE 命令を使用します。

    DELETE TABLE itab FROM wa.

    または

    DELETE TABLE itab WITH TABLE KEY k1 = f1 … kn = fn.

    または

    DELETE TABLE itab Index idx複数行削除

    内部テーブルの行を複数まとめて削除する場合には、「DELETE .. WHERE」文を使用します。

    DELETE TABLE itable WHERE key = value.走査

    内部テーブルを走査するには、命令LOOP~ENDLOOPを使用します。 FROM を指定できるのは、 標準テーブルおよび ソートテ ーブルの場合に限られます。 すべてのテーブルデータ型について WHERE を指定することができます。

    DATA : T_WITH_ITEM TYPE TABLE OF WITH_ITEM, W_WITH_ITEM TYPE WITH_ITEM. * 処理 LOOP AT T_WITH_ITEM INTO W_WITH_ITEM WHERE BELNR = W_BELNR AND BUZEI = W_BUZEI. * 処理  

    ENDLOOP.


  • プログラミング基礎 0 Votes 660 閲覧数


    このトピックでは、動的な名称の使用方法を取り上げて説明します。

    動的な名称とは

    ABAPプログラムでは、以下のように様々な名称が使用されます。

    データ型を指定するための名称データオブジェクトを参照するための名称SQL文に記述されるテーブル名称…

    通常はプログラムを作成する際に明示的に記述しますが、より機能性が高いプログラムを作成する場合、その名前を可変にしなければならないケースがあります。この可変の名前は動的な名前と呼ばれます。

    基本的な構文

    基本構文は以下のようになります (名称が格納された変数)

    REPORT Y_TEST. DATA: A TYPE C, V1 TYPE C. FIELD-SYMBOLS <FS> TYPE ANY. A = 'T'. V1 = 'A'. ASSIGN (V1) TO <FS>. WRITE: <FS> . 活用される場面ツール型のプログラム作成

    テーブル内容をエクスポートするツールを例とします、テーブル名はユーザから任意に指定可能です。

    以下はその実装の抜粋です。

    PARAMETERS: pn TYPE dd02l-tabname obligatory. START-OF-SELECTION. DATA: t_itab TYPE REF TO DATA. FIELD-SYMBOLS: <itab> TYPE STANDARD TABLE. CREATE DATA t_itab TYPE STANDARD TABLE OF (pn). ASSIGN t_itab->* TO <itab>. SELECT * FROM (pn) INTO TABLE <itab>. *後続は省略コードの簡潔化

    名前が番号違いだけである複数の変数に対してそれぞれ何かの処理を行う時に、動的に変数を割り当てループ処理化することにより、コーディング記述量を劇的に減らすことができます。

    REPORT Y_VARNAME_TEST. DATA:V1(2) TYPE C, V2(2) TYPE C, V3(2) TYPE C, V4(2) TYPE C, V5(2) TYPE C, V6(2) TYPE C, V7(2) TYPE C, V8(2) TYPE C, V9(2) TYPE C.

    DATA: VNAME(5) TYPE c ,
    VINDEX TYPE c.

    FIELD-SYMBOLS <FS> TYPE ANY.
    START-OF-SELECTION.
    DO 9 TIMES.
    VINDEX = SY-INDEX.
    CONCATENATE 'V' VINDEX INTO VNAME.
    ASSIGN (VNAME) TO <FS>.
    CONCATENATE 'X' VINDEX INTO <FS>.
    ENDDO.
    DO 9 TIMES.
    VINDEX = SY-INDEX.
    CONCATENATE 'V' VINDEX INTO VNAME.
    ASSIGN (VNAME) TO <FS>.

    WRITE:/ VNAME,
    : '=' ,
    : <FS>.
    ENDDO.

    上記のサンプルの実行結果は以下の図で示します。

    変数参照制限の回避

    ABAPでは異なるプログラム(レポート、汎用グループetc)のグローバル変数を直接参照することができません。 但し、Exit実装のアドオンプログラムから、直接拡張された標準プログラムのグローバル変数を直接参照したいというニーズはたまたま発生します。 そこで裏技になりますが、動的な変数名を利用すれば、プログラムを跨ってグローバル変数を参照できないというABAP言語の制限を回避することができます。

    以下はそのサンプルです。

    *
    DATA: I_OKCODE(17) TYPE C VALUE '(SAPLMR1M)OK-CODE'.
    FIELD-SYMBOLS: <FS_OKCODE> TYPE ANY.
    ASSIGN (I_OKCODE) TO <FS_OKCODE>.


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    このトピックでは内部テーブル全体に対する操作を取り上げて説明します。

    割当

    内部テーブルの割り当ては、MOVE命令を使用します。 MOVE itab1 TO itab2. なお、代入演算子も同様の働きを持ちます。 itab2 = itab1.

    上記の命令が実行された結果、内部テーブルitab1の内容が内部テーブルitab2にコピーされることになります。

    初期化

    内部テーブルを初期化するには、clear、fresh、freeなどの命令を使用します。

    clear構文1:clear itab[]
    内部テーブルの本体を初期化します。
    内部テーブルは初期メモリ所要量が予約され、その以外のメモリ領域がすべて解放されます。構文2:clear itab
    ヘッダ行を含まない内部テーブルの場合は、この命令はclear itab[]と同様に動作します。
    ヘッダ行を含る内部テーブルの場合は、ヘッダ行(作業領域)の名前が内部テーブルと同じであるため、このテーブルは単なるヘッダ行のクリアのみとなります。fresh構文:fresh itab
    常に内部テーブルの本体を初期化します。この命令はclear itab[]と同様に動作します。free構文:fresh itab
    常に内部テーブルの本体を初期化します。この命令はclear、fresh命令と異なり、内部テーブルに対して、初期メモリ所要量を含めた記憶域全体をすべて解放します。比較

    ABAPでは、内部テーブルも論理式内のオペランドとして比較することができます。

    ソート

    内部テーブルのソートはSORT命令を使用します。

    SORT itab [ASCENDING|DESCENDING] [AS text] [STABLE].

    属性取得

    DESCRIBE TABLE命令を使用して、件数などの内部テーブルの各属性を取得することができます。

    DESCRIBE TABLE
    構文:DESCRIBE TABLE itab [LINES lin] [OCCURS n] [KIND knd].パラメータ:LINES
    内部テーブルのレコード件数を取得します。パラメータ:OCCURS
    内部テーブルの初期サイズを取得します。パラメータ:KIND
    内部テーブルの種類を取得します。