金融業の仕組みと全体像
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1. 金融業とは何か(一言で)

金融業とは、お金を「集める」「貸す」「増やす」「守る」ことを専門に扱う産業であり、個人・企業・国の経済活動は、金融業を通じて資金が循環することで成り立っています。


2. 金融業の全体像(お金の流れ)

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金融の基本構造は、次の循環です。

  1. お金を預けたい人・余っている人

  2. 金融機関が仲介

  3. お金を必要とする人・企業

  4. 利息・手数料・運用益が発生

  5. お金が戻り、再び循環

👉 金融業の本質は
**「資金の仲介とリスクの分散」**です。


3. 金融業の主な役割(機能別)

① 資金の仲介

  • 預金 → 融資

  • 投資 → 企業活動

② 決済・支払い

  • 振込

  • クレジットカード

  • 電子決済

③ リスク管理

  • 保険

  • 分散投資

  • 信用審査

④ 資産形成・運用

  • 投資信託

  • 株式・債券

  • 年金・保険商品


4. 金融業の主な業種と違い

金融は2つに分類されており、どの業種も下記のどちらかに当てはまります。

  • 直接金融
    資金に余裕がある人と、資金を必要としている人の資金調達のやり取りが直接行なわれる仕組みのことをいいます。このやり取りは市場を通じて行なわれます。
    証券会社は直接金融の代表的な業種です。
  • 間接金融
    資金に余裕がある人と、資金を必要としている人との間に調整役として預貯金取扱金融機関が入り、資金調達のやり取りが間接的に行なわれる仕組みのことをいいます。
    銀行は間接金融の代表的な業種です。

① 銀行(預金・融資の中核)

役割

  • 預金を集める

  • 企業・個人にお金を貸す

  • 決済インフラを提供

特徴

  • 安定性重視

  • 金利ビジネスが中心

  • 不動産ローン・事業融資と密接


② 証券会社(投資・市場の窓口)

証券会社の主要業務は下記の4種類です。

  1. 委託売買業務
    顧客の株式の売買の注文を受け、証券取引所へ流す業務。
    顧客からは一定の手数料を取ることで収益をあげています。
  2. 引受業務
    発行された債権や株式の一部、または全部を証券会社が引き受ける業務。
    引き受けた分を販売できなければ証券会社が責任を持って買い取ります。
  3. 募集、売出し業務
    引受業務で引き受けた証券を個人投資家や機関投資家に販売する業務。
  4. 自己売買業務
    証券会社が自己資金で有価証券を売買する業務。大きな収入源の1つであると同時に、マーケットの活性化という目的もあります。
    ただ、相場に影響を与えすぎないように自己売買規準という規制があり、過度な売買は抑えられています。

役割

  • 株式・債券の売買仲介

  • 資金調達の支援

  • 投資商品の提供

特徴

  • 市場価格と直結

  • リスク・リターンが大きい

  • 資産運用寄りの金融


③ 保険会社(リスクを引き受ける)

保険会社のサービスは下記の2種類です。

  1. 死亡保険
    人の生死に関して、事前に決められた金額を給付する定額給付の保険。
    生命保険会社は保険料を資金とし、長期の資産運用をして収益をあげています。
  2. 損害保険
    偶然の事故などによって実際に被った損害分だけの保障される実損てん補の保険。
    リスクを確率で考え、数学的な解析により成り立っているビジネス。


役割

  • 万一の損失を補償

  • 長期的な資金運用

特徴

  • 「起きたら困ること」に備える

  • 住宅・生命・医療と相性が良い

  • 保険料 × 長期運用モデル


④ ノンバンク(銀行以外の融資)

役割

  • 銀行が貸しにくい領域をカバー

  • 消費者金融・信販会社など

特徴

  • 審査が柔軟

  • 金利は高め

  • 短期・小口向け


⑤ 資産運用会社・投資信託会社

役割

  • 投資家から集めた資金を運用

  • 株式・債券・不動産などに投資

特徴

  • 長期運用が前提

  • 個人では難しい分散投資を実現


5. 各金融業種の違い(整理表)

業種主な役割向いているニーズ
銀行預金・融資安定・生活・事業
証券投資仲介資産形成・運用
保険リスク補償もしもへの備え
ノンバンク補完融資迅速な資金調達
運用会社資産運用長期投資

6. 金融業と不動産・生活との関係

金融業は、日常生活や不動産と密接につながっています。

  • 不動産購入:住宅ローン(銀行)

  • 不動産投資:融資+運用判断

  • 万一への備え:火災保険・地震保険

  • 老後資金:運用商品・保険

👉 不動産は
金融と切り離して考えられない資産です。


7. まとめ

金融業とは、
お金を「集め、回し、増やし、守る」仕組み全体です。

  • 銀行は「生活と事業の土台」

  • 証券は「成長と投資」

  • 保険は「備えと安心」

  • ノンバンクは「補完」

それぞれ役割が異なり、目的に応じて使い分けることが重要です。


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関連サマリー


  • 金融 0 Votes 308 閲覧数


    銀行の主な業務は以下のように分類することができます。

    固有業務 
    銀行法で定められた銀行の本業で、銀行の3大業務と呼ばれている「預金業務」「融資業務」「為替業務」から構成されます。預金業務 
    たくさんの預金者から預金という形でお金を集める業務です。融資業務 
    資金を必要としている会社などに貸し付ける業務です。為替業務 
    給料や年金の受け取りや、電気代・水道代といった公共料金の支払いなど、会社や個人などの依頼に基づいて、お金を送金したり受け取ったりする業務です、決済業務ともいいます。付随業務 
    固有業務以外で銀行法で定められている業務です。以下のような業務があります。債務保証社債の募集委託手形引受周辺業務 
    固有業務以外で銀行法で定められいない業務です。以下のような業務があります。クレジットカード信用保証貸金庫

  • 金融 0 Votes 237 閲覧数


    銀行は以下のように分類されることが多いです。

    都市銀行 
    全国規模で銀行サービスを提供する銀行です。多くの場合国際的な取引も行います。全国的なサービス網を持つことは強みです。地方銀行 
    地方都市に密着する銀行です。地域密着型のサービスを提供することは強みです。信託銀行 
    通常の銀行業務に加えて「信託業務」を行うことが許されている銀行です。相続や不動産仲介などに強みを持っています。外国銀行 
    日本国外に本店がある銀行です。新たな形態の銀行 
    ネットバンク等  代表的なものが「ネットバンク」あとはATM決済を基本とした「セブン銀行」、商業施設との連携を基本とした「イオン銀行」などがあります。

  • 金融 S 0 Votes 312 閲覧数


    消費者金融とは

    個人利用者向けに小口の融資を行うこと、またはそのサービスを行う業者のことをいいます。
    消費者金融は主に無担保・保証人無しで利用でき、審査のスピードが早く申し込み当日に融資を受けられる業社が多いです。
    メリットが多い反面、担保ローンに比べると金利が高くなります。

    消費者金融の歴史・変遷・消費者金融の始まり

    1960年代に、その人の信用を担保とした消費者金融が各地でスタートしました。大手消費者金融会社は全てこの時代に創業しています。
    銀行の煩雑で時間のかかる融資に比べて、手軽に融資を受けられる事から多くの人が利用しました。

    ・消費者金融=悪のイメージ

    1970年代には利用者が増え市場が拡大していきました。それに伴い、消費者金融業界の競争は激化。「高金利、過剰融資、過酷な取り立て」のサラ金3悪が横行するようになりました。
    メディアでの批判的な報道も多くなり、この頃から消費者金融のイメージは悪くなっていきます。

    ・消費者を守るための規制

    消費者金融会社が適切な運営をするように1983年に「貸金業の規制等に関する法律」「改正出資法」が施行されました。
    この法律の施行を皮切りに、悪質な業者は業界から排除されていき、中小の消費者金融会社は利益が出せずに相次いで倒産し、数は激減していきました。
    逆に大手の消費者金融会社では経営体質の改善と強固な経営基盤を確立するきっかけとなったのです。

    ・各社株式公開へ

    1990年代にはテレビCMの解禁によるイメージアップ戦略の成功や、自動契約機の登場による利便性や秘匿性の向上などで消費者金融業界は業績を伸ばしていきました。
    業界全体が成長していく中、大手各社は次々と上場企業へとなりました。

    ・法改正による業界再編

    2000年には「貸金業規制法」と「出資法」の改正法が施行され、市場が縮小し、消費者金融業界は再び冬の時代に突入しました。
    さらに、2006年から過払金請求が本格化し、過払金の返金により各社の経営状態は悪化。大手を含む多くの消費者金融会社が倒産していく要因となりました。
    2010年には貸金業法が完全施行され、さらに規制は厳しくなり、消費者金融業のイメージである「高金利、過剰融資、過酷な取り立て」はできなくなっていったのです。

    貸金業法

    消費者金融会社やクレジットカード会社などの貸金業者を対象とした法律です。
    消費者金融会社の「高金利、過剰融資、過酷な取り立て」が社会問題となった背景があり、悪徳な貸金業者を取り締まり、利用者を守るための法律が施行されました。
    貸金業法の施行による効果は下記の様なものが挙げられます。
    ・上限金利が定められ、高金利での融資はできなくなった。
    ・総量規制で年収の1/3までしか融資ができないので過剰融資がされなくなった。
    ・取立行為の規制が定められ、取立行為による私生活の平穏が脅かされる事がなくなった。