【買主視点】日本における不動産売買の仕組みと注意点
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1. 日本の不動産売買の基本構造(買主が理解すべき前提)

日本の不動産売買は、宅地建物取引業者(不動産会社)による仲介制度を中心に成り立っています。
買主は原則として、不動産会社を通じて物件情報を取得し、契約・決済・登記を経て所有権を取得します。

この流通構造を支えているのが、**REINS(レインズ)**と呼ばれる不動産情報ネットワークです。


2. REINS(レインズ)とは何か【買主目線】

REINS(レインズ)とは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営する、業者専用の物件情報システムです。
売却依頼を受けた不動産会社は、一定条件下で物件情報をレインズに登録し、全国の不動産会社と共有します。
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買主にとってのポイント

  • 市場に出回る中古物件の多くはレインズ経由で流通している

  • 買主自身は直接見られないが、仲介会社を通じて同じ情報網にアクセスしている

  • 原則として、どの不動産会社に相談しても「市場情報の母体」は同じ

👉 レインズは、物件探しの裏側を支えるインフラと理解すると分かりやすいです。


3. 買主から見た不動産売買の基本的な流れ

  1. 物件探し
     不動産会社に相談し、レインズ掲載物件などを紹介される

  2. 購入申込み
     買付証明書を提出し、条件交渉を行う

  3. 売買契約
     重要事項説明を受け、契約締結・手付金支払い

  4. 決済・引渡し
     残代金支払い、登記、鍵の引渡し


4. 現状渡し物件の注意点【買主が特に注意すべき点】

中古不動産では、「現状渡し」で売買されるケースが非常に多く見られます。

現状渡しとは

売主がリフォームや修繕を行わず、現在の状態のまま引き渡す条件のことです。

買主の注意点

  • 設備の不具合や劣化があっても、原則として修繕請求できない

  • 内装・水回り・設備は購入後に自己負担で対応する前提

  • 契約書の「設備表」「物件状況報告書」の確認が重要

👉 現状渡し物件は、
「購入価格+リフォーム費用」で総額判断することが必須です。


5. 固定資産税評価額の見方(税金計算の基準)

不動産購入時の税金は、多くの場合、売買価格ではなく固定資産税評価額を基準に計算されます。

固定資産税評価額とは

  • 市町村が決定する評価額

  • 固定資産税・不動産取得税・登録免許税の基準になる

  • 売買価格の約6〜7割程度が目安(実績一般的なケース)

確認方法

  • 固定資産税納税通知書

  • 評価証明書(市区町村で取得)


6. 買主が支払う主な税金と計算方法

■ 不動産取得税(都道府県税)

固定資産税評価額 × 税率(原則4%)- 軽減措置

※ 住宅用は大幅な軽減あり

■ 登録免許税(国税)

固定資産税評価額 × 税率
  • 原則:2.0%

  • 住宅用軽減適用時:0.3%〜0.15%(条件あり)

■ 印紙税

  • 売買契約書に貼付

  • 売買金額に応じた定額


7. 不動産購入時の総費用一覧【買主向け整理】

① 物件価格

  • 土地・建物の売買代金

② 税金

  • 不動産取得税

  • 登録免許税

  • 印紙税

③ 諸費用

  • 仲介手数料

  • 登記費用(司法書士報酬含む)

  • ローン事務手数料・保証料(利用時)

④ 購入後に発生しやすい費用

  • リフォーム・修繕費

  • 設備交換費

  • 引越し・家具家電費用

👉 **「物件価格+7〜10%前後」**が
初期総費用の一つの目安になります。


8. まとめ(買主視点の重要ポイント)

日本の不動産売買は、
REINSを基盤とした仲介制度のもとで行われています。

買主は、

  • レインズによる流通構造

  • 現状渡し物件のリスク

  • 税金が評価額ベースで計算されること

  • 購入後費用まで含めた総額判断

を理解しておくことで、
不動産購入とリフォーム計画を安全に進めることができます。

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関連サマリー


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    1. なぜ不動産には「価格」が複数あるのか

    不動産には、
    **目的ごとに異なる「価格のものさし」**が存在します。

    売買のための価格

    税金を計算するための価格

    相続・贈与のための価格

    公的な目安としての価格

    これらはすべて役割が違うため、
    同じ不動産でも価格が一致しないのが普通です。

    2. 不動産価格の全体像(位置づけ)


    実務上は、次の4つを押さえておくと整理しやすくなります。

    区分主な価格市場価格実勢価格公的指標公示価格税務評価相続税路線価・固定資産税評価額3. 実勢価格(じっせいかかく)概要

    実際に市場で売買される価格です。
    買主と売主の合意によって決まる、いわば「本当の取引価格」。

    特徴

    景気・需要・立地・建物状態に強く影響される

    同じエリアでも物件ごとに大きく異なる

    不動産広告や契約価格は、この実勢価格

    使われる場面

    不動産売買

    投資判断

    リフォーム費用を含めた総額検討

    👉 最終的な判断基準になる価格

    4. 公示価格(こうじかかく)概要

    国が毎年公表する、標準的な土地の価格です。

    特徴

    毎年1回公表

    実勢価格の目安として使われる

    売買価格を直接決めるものではない

    実勢価格との関係

    実勢価格 ≒ 公示価格 × 1.0〜1.2倍程度(一般的傾向)

    👉 **「このエリアはいくらぐらいが相場か」**を知るための基準

    5. 相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)概要

    相続税・贈与税を計算するための土地評価額。道路ごとに1㎡あたりの価格が設定されています。

    特徴

    公示価格の約80%程度が目安

    土地の形状・奥行き・間口などで補正あり

    建物価格は別途評価される

    使われる場面

    相続税・贈与税の計算

    相続対策の検討

    👉 「売れる価格」ではなく「税金計算用の価格」

    6. 固定資産税評価額概要

    固定資産税・不動産取得税・登録免許税の基準となる評価額。

    特徴

    公示価格の約70%程度が目安

    土地・建物それぞれに評価額がある

    原則3年ごとに見直し

    使われる場面

    固定資産税

    不動産取得税

    登録免許税

    👉 買主が税金計算で最も頻繁に使う価格

    7. 価格同士の関係(整理)

    一般的な関係は次のイメージです。

    実勢価格 ↓(約90〜110%) 公示価格 ↓(約80%) 相続税路線価 ↓(約70%) 固定資産税評価額

    ※ あくまで目安であり、地域や個別事情により前後します。

    8. 買主・所有者が注意すべきポイント● 価格の混同は危険

    売買価格(実勢)

    税金計算(評価額)

    👉 用途が違う価格を比較しない

    ● 「安く買えた=税金も安い」とは限らない

    税金は評価額ベース

    売買価格が下がっても税額が大きく変わらないこともある

    ● 相続・売買・保有で見る価格が変わる

    保有中:固定資産税評価額

    相続時:相続税路線価

    売却時:実勢価格

    9. まとめ

    不動産には、

    実勢価格(市場)

    公示価格(目安)

    相続税路線価(相続・贈与)

    固定資産税評価額(保有・取得)

    という複数の価格が存在し、それぞれ目的に応じて使い分けられています

    不動産を購入・保有・相続・売却する際は、「今はどの価格を見る場面なのか」を意識することが、正しい判断と無駄な誤解を防ぐ最大のポイントです。


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    このトピックは土地に関する用語をサマリーしました。(編集中)

    土地の用途用語説明地目(ちもく)土地の種類(用途)を表す分類であり、不動産登記法により登記所(法務局)が、土地の現況及び利用目的で判断し登記されます。
    現在は全部で23区分あり、主なのは宅地、田、畑、山林、雑種地の5区分があり、そのほかには牧場、原野、塩田、鉱泉地、池沼、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、鉄道用地、学校用地があります。

    宅地(たくち)
    建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地。
    田(た)
    農耕地で用水を利用して耕作する土地。
    畑(はたけ)
    農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
    山林(さんりん)
    耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
    雑種地(ざっしゅち)
    どの地目にもあてはまらない土地。
    農地(のうち)耕作の目的に供される土地。
    地目の田と畑が纏めて農地と呼ばれます。農地では、基本的に農地法が適用されることになります。


    土地の地域地区用語説明都市計画区域
    市計画法という法律によって、都道府県知事や国土交通大臣が指定するエリア。
    都市計画法(法第7条)により、都市計画区域は市街化区域と市街化調整区域に区域区分されています。
    都市計画区域の他には、「都市計画区域外」と「準都市計画区域」があります。
    市街化区域
    既に市街地を形成している区域と概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図る区域であり、都市の発展動向等を勘案して市街地として積極的に整備する区域。
    市街化調整区域
    市街化を抑制すべき区域。
    原則として用途地域を定めず、農林漁業用の建築物等や一定の要件等を備えた開発行為以外は許可されません。




    土地の形状用語説明地形(じがた)
    土地の形や傾斜などの状態のこと。

    整形地(せいけいち)長方形や正方形などのように、ある程度形が整っている土地。
    不整形地(ふせいけいち)
    きれいな正方形や長方形の形状をした土地(「整形地」)以外の土地。




    土地の価格用語
    説明。
    基準地価(きじゅんちか)各都道府県内から選んだ全国2万ヶ所以上の基準地の標準価格。
    土利用計画法(1974年制定)に基づき、1m2(林地は10アール)あたりの評価額を1ヶ所につき1人以上の不動産鑑定士が鑑定評価し、毎年7月1日現在の標準価格として都道府県知事が9月下旬に公表しています。
    公示地価(こうじちか)
    土地の取引において広く指標とされる「都市計画区域内の土地」の1平方メートルあたりの価格。
    公示地価は毎年1月1日時点の土地の価格を国土交通省土地鑑定委員会の評価により決定し、毎年3月下旬に公表されます。
    路線価(ろせんか)道路に面した宅地の1㎡あたりの土地の価格。
    路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」という2つがあり、それぞれにどれくらいの税金がかかるかを求めるのに使われる指標となります。ちなみに、単に「路線価」とだけ記されている場合には「相続税路線価」のことが多いです
    実勢価格(じっせいかかく)
    時価(じか)実際に市場で取引されたときの価格。