1. なぜ不動産には「価格」が複数あるのか
不動産には、
**目的ごとに異なる「価格のものさし」**が存在します。
売買のための価格
税金を計算するための価格
相続・贈与のための価格
公的な目安としての価格
これらはすべて役割が違うため、
同じ不動産でも価格が一致しないのが普通です。
2. 不動産価格の全体像(位置づけ)

実務上は、次の4つを押さえておくと整理しやすくなります。
| 区分 | 主な価格 |
|---|---|
| 市場価格 | 実勢価格 |
| 公的指標 | 公示価格 |
| 税務評価 | 相続税路線価・固定資産税評価額 |
3. 実勢価格(じっせいかかく)
概要
実際に市場で売買される価格です。
買主と売主の合意によって決まる、いわば「本当の取引価格」。
特徴
景気・需要・立地・建物状態に強く影響される
同じエリアでも物件ごとに大きく異なる
不動産広告や契約価格は、この実勢価格
使われる場面
不動産売買
投資判断
リフォーム費用を含めた総額検討
👉 最終的な判断基準になる価格
4. 公示価格(こうじかかく)
概要
国が毎年公表する、標準的な土地の価格です。
特徴
毎年1回公表
実勢価格の目安として使われる
売買価格を直接決めるものではない
実勢価格との関係
実勢価格 ≒ 公示価格 × 1.0〜1.2倍程度(一般的傾向)
👉 **「このエリアはいくらぐらいが相場か」**を知るための基準
5. 相続税路線価(そうぞくぜいろせんか)
概要
相続税・贈与税を計算するための土地評価額。道路ごとに1㎡あたりの価格が設定されています。
特徴
公示価格の約80%程度が目安
土地の形状・奥行き・間口などで補正あり
建物価格は別途評価される
使われる場面
相続税・贈与税の計算
相続対策の検討
👉 「売れる価格」ではなく「税金計算用の価格」
6. 固定資産税評価額
概要
固定資産税・不動産取得税・登録免許税の基準となる評価額。
特徴
公示価格の約70%程度が目安
土地・建物それぞれに評価額がある
原則3年ごとに見直し
使われる場面
固定資産税
不動産取得税
登録免許税
👉 買主が税金計算で最も頻繁に使う価格
7. 価格同士の関係(整理)
一般的な関係は次のイメージです。
※ あくまで目安であり、地域や個別事情により前後します。
8. 買主・所有者が注意すべきポイント
● 価格の混同は危険
売買価格(実勢)
税金計算(評価額)
👉 用途が違う価格を比較しない
● 「安く買えた=税金も安い」とは限らない
税金は評価額ベース
売買価格が下がっても税額が大きく変わらないこともある
● 相続・売買・保有で見る価格が変わる
保有中:固定資産税評価額
相続時:相続税路線価
売却時:実勢価格
9. まとめ
不動産には、
実勢価格(市場)
公示価格(目安)
相続税路線価(相続・贈与)
固定資産税評価額(保有・取得)
という複数の価格が存在し、それぞれ目的に応じて使い分けられています。
不動産を購入・保有・相続・売却する際は、「今はどの価格を見る場面なのか」を意識することが、正しい判断と無駄な誤解を防ぐ最大のポイントです。